■介護支援専門員とは
介護支援専門員(ケアマネジャー)は、介護保険法に位置づけられた職種であり、介護保険の根幹である、「ケアマネジメント」を担う専門職です。
介護保険法の中では、「要介護者または要支援者(以下「要介護者等」という。)からの相談に応じ、要介護者等がその心身の状況等に応じ適切なサービスを利用できるよう、市区町村、サービス事業者等との連絡調整等を行う者であって、要介護者等が自立した日常生活を営むのに必要な援助に関する専門的知識および技術を有するものとして介護支援専門員証の交付を受けたもの」と定義されています。
もう少しわかりやすく言えば、介護認定を受け、介護保険サービス等を利用する方などからの相談に応じ、利用者の希望や心身の状態を考慮して、在宅や施設での適切なサービスが受けられるように、ケアプラン(介護サービス計画)を立案したり、関係機関との連絡調整を行うことが主な業務となります。
■介護支援専門員という資格が出来た経緯
急激な高齢化や家族形態の変容などを背景に、介護を社会全体で支える仕組みが求められてきました。それに対応すべく、平成9年12月に新たな社会保険制度として制定されたのが介護保険制度です。
介護保険制度の検討過程では、厚生省内に設置された「高齢者介護・自立支援システム研究会」の報告によって、介護の基本理念として「高齢者の自立支援」が掲げられ、介護に関係する従来の制度を再編成し、「新介護システム」の創設を目指すべきとされました。そのうえで、システムの中身となる介護サービスについては、高齢者の「生活の質」の維持・向上を目指す観点から、サービス担当者が利用者の立場でそのニーズを把握し、関係者が一緒になってサービスの基本方針である「介護サービス計画(ケアプラン)」を策定し実行する仕組みが提言されました。それが、「介護支援サービス(介護保険制度におけるケアマネジメント)」です。
この介護支援サービスについては、老人保健福祉審議会の最終報告でも提言されています。こちらは、適切なサービスが円滑かつ容易に手に入れられるような利用者本位の仕組みとすることを趣旨としています。
これらの提言を受け、介護保険の基本理念である「利用者本位」を実現するサービス提供の手法として、「介護支援サービス(ケアマネジメント)」が制度化されるとともに、利用者に代わって実際のケアマネジメントを担う立場として、介護支援専門員が制度上に位置づけられました。
■介護支援専門員のこれから
介護支援専門員は「ケアマネジメント」を担う専門職として、居宅介護支援事業所のみならず、介護保険施設や、地域包括支援センター、地域密着型サービス等様々な事業所で活躍しています。
また、地域包括ケアシステムを構築する中でも、その要として、利用者の支援スキルの向上を行いつつ、それぞれの地域のあり方を考えていくことの出来る専門職種です。
今後、地域共生型社会の実現に向け、高齢者の支援にとどまらず、障害や児童のケアマネジメントにも目を向け、職域を広げる活動をしていく必要があります。
そのためにも、介護支援専門員の質の向上を目指し、全国の介護支援専門員が一丸となって活動しています。