一般社団法人
日本介護支援専門員協会
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「年頭所感」-当協会会長 木村 隆次-

年    頭    所    感

                                         一般社団法人 
                                         日本介護支援専門員協会
                                         会 長      木村 隆次
                                                                                                

 新年あけましておめでとうございます。
 平成24年を迎え、謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。

 本年4月は、改正介護保険法の施行によって新たなサービスが導入されるとともに、6年に1度の介護報酬・診療報酬の同時改定が行われます。また、3年を1期として策定が義務づけられている「市町村介護保険事業計画」の第5期がスタートし、市町村ごとに、利用が見込まれるサービスの量や種類などを勘案して向こう3年間の介護保険料が設定されます。

 今回の法改正は、「医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスを切れ目なく一体的に提供する地域包括ケアシステム」の実現に向けて、介護が必要な人も医療が必要な人も、住み慣れた地域で安心して暮らせる体制づくりに取組む視点で見直しが行われました。おおむね30分以内で駆けつけられる「日常生活圏域」(中学校区)ごとに、地域の実情にあった我がまちのサービス提供体制を構築していくことがポイントです。

 介護保険のサービスとして新たに創設されるのは、訪問介護(ヘルパー)と訪問看護(看護師)が連携をとりながら短時間の定期巡回を行い、利用者からの通報があれば随時駆けつける24時間対応型の「定期巡回・随時対応サービス」、それと、通い・訪問・泊まりの機能を持つ現行の小規模多機能型居宅介護に訪問看護を組み合せた「複合型サービス」です。

 また、市町村の判断によって、介護の必要度が低い要支援者や、介護を必要としないまでも虚弱な状態にある2次予防事業対象者とよばれる方々を対象に、介護予防や配食・見守り等の生活支援サービスとケアマネジメントを総合的に提供する「介護予防・日常生活支援総合事業」を導入することも可能になりました。
 国は、地域全体で高齢者の自立した生活を支える取組みを進めるため、平成24年度から26年度の第5期市町村介護保険事業計画の期間の途中年度であっても総合事業を積極的に導入することを推進しています。一方で、市町村サイドではサービスを安定的に供給する責任があるため、これを確保できる見通しが立つまで、あるいは近隣の市町村の様子を見ながら、事業導入に慎重な姿勢で検討しているところが多いようです。住む場所によってサービスの格差が生じないよう、全国どの市町村でも前向きに総合事業の導入を考えて頂きたいと思います。

 利用者の皆様にとっては、新しい仕組みが導入されると実際に受けられるサービスが減るのか増えるのかも切実な問題であり、懸念する声も聞かれるところです。いずれのサービスも自立支援に資するためのケアマネジメントに基づいて過不足なく提供されることが重要です。基本的にケアマネジメントは真に必要なサービスを見極められるケアマネジャー(介護支援専門員)が多職種協働によって行うことで、給付の適正化を図ることも可能になります。

 介護保険の財源は税と保険料です。市町村ごとに決める総合事業も単独の生活支援サービスと違って40歳~64歳の人が負担する2号保険料が投入されます。私は、制度を維持していくためには、給付と負担のあり方についても目をそむけずに誠実に議論をする必要があると思っています。社会保障制度はなくてはならない仕組みですが、社会保障を充実させるためには財源が必要です。介護保険は社会保険である以上、公平性も担保されなければなりません。
 短絡的に給付の推進又は抑制を主張するのではなく、例えばケアマネジメント(居宅介護支援費)の利用者負担はなぜ0割で全額を保険によって運営しているのか等、1つ1つのサービスの趣旨をきちんと踏まえ、国民が大方合意できる範囲で丁寧に制度の理解を得て、制度を維持していくことが必要であると考えます。

 今年は政府の「社会保障・税一体改革」の工程に基づき、社会保障制度全体が次のステージに向けて大きな一歩を踏み出す年になると言えます。また、ケアマネジャーの資質向上や資格制度、研修のあり方等について検討する場が国に設置され根本的な改革の議論が行われるため、私どもケアマネジャーも転換期を迎えています。

 東日本大震災が発生し、被災地のケアマネジャーも、全国から支援に集まったケアマネジャーも、我が協会も全力で被災地の支援に取り組みました。私は自ら被災したケアマネジャーが懸命に利用者の安否確認を続ける姿、安否確認を経て、時系列で変わるニーズを捉え被災者の暮らしを支える姿を目の当たりにして、この日本にケアマネジャーによるケアマネジメントが確実に根付き、社会保障制度に欠かせない存在になっていることを実感しました。

 私たちケアマネジャーは、国民の皆様が安心して住み慣れた地域で暮らすことができるよう、地域包括ケアシステムの核となる専門職として、自らに課せられた課題についても1つ1つクリアしていき、一層の貢献をしたいと思います。
 本年も皆様のご支援、ご協力をよろしくお願い申し上げます。

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※会員(ケアマネジャー)の皆様への新年のご挨拶は、メールマガジン188号でお送りいたしました。

 メールマガジンは、会員専用頁に掲載しております。

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